weblog@mazushima

京都で役者をやっている豊島勇士のブログです。

マイムってなんだ、あるいは今度出演する公演について

f:id:mazushima:20150525134102p:plain

 
マイムを始めてから、早1年(半)が経とうとしています。
 
この記事は、「マイムってなんだ?」という人にむけて、僕の一年半のマイム体験を記すことで少しでもマイムのことを知ってもらい、そして来月出演するマイム公演「かつての風景」の紹介をして、観に行こうかな、という人を少しでも増やす、ということを目的に書きました。長文ですが、ご了承ください。
 
「かつての風景」の紹介だけ読みたい方は、記事の中ほどからお読みください。
 
---

僕のマイム体験

 
僕がマイムを始めたきっかけはこの動画でした。
 
 
2013年10月。
そのとき初めて見たのではなく、おそらく2回目くらいだったと思います。

 

「この人のようになれば、自分のやりたい舞台ができるかもしれない」

 
アニメーションのような舞台をしたい、となんとなく考えていた僕にとって、実体化するための手がかりをつかんだような気持でした。
 
それからネットでマイムについて調べ始め、マルセル・マルソーに行き着きます。
 
 
「あれ?これ…なんだこれすごい」
 
それまでマイム(当然パントマイムの略と思っていた)といえば無対象演技(ないものがあるように見えるテクニック)だと思っていたところに、全く違う、未だになんといってまとめてよいかわからない表現がなだれ込んできました。
 
「あばばばばば」
 
マイムについてさらに調べていくと、今関西には「いいむろなおき」という人がいるらしい、と知ります。慌てて舞台を見に行くと、たった30分の作品で、とんでもない衝撃を受けました。
 
人差し指がビッグバンになるんですよ。
地球の歴史が30分で一往復してるのに、
全然「抽象的」な舞台じゃなく、その瞬間瞬間が目の前で「現実」な感じがあって。
想像できますか。
 
これは「手」というちょっと抽象的な作品ですが、やっぱりイメージはすごく具体的だと思います。
 
衝撃を受けた僕は、さっそく何かやってみたいと思いました。
もともともっていた「パントマイムのすべて」という本をもとに、見よう見まねで練習を始めます。でっかい一畳分もある姿見を買ったのもこのころです。
 
そして、学生最後となる2014年の3月、西部講堂の裏手にある小部屋で30分ほどのマイム公演をしました。公演と呼べるほどの規模ではなく、いろんな意味で「やっちまったな」というものではありましたが。
 
2014年4月からは、「いいむろなおきマイムラボ・セカンド」7期生として、いいむろさんが教えるマイムの稽古に参加しはじめます。そこからは、怒涛の一年でした。
 
自分の体がどう見えているのか、見せたい形にバシッときめられるよう「基準」をつくっていく作業、体の中心でみせるためのシステマティックなメソッド、マルソーのつくった習作の抜粋、キャラクター性の強い複数人でのコント、クラウン(ピエロ)のよ うなドタバタ、ブラックユーモアな小作品…などなど。
 
本当にいろんなことが課題になり、体が少しずつ動くようになっていく一方で、その舞台で大事なことはなんなのか、何をどうやって見せていくのが「肝心なこと」なのか、そこがひたすら問題になっている稽古場でした。
 

「かつての風景」

 
その稽古場で出会ったのが、来月出演する「かつての風景」で共演させていただく
岡村渉さん、菅原ゆうきさん、黒木夏海さんです。
 
岡村渉
渉さんは、僕がマイムに興味をもったきっかけであり、そのころからあこがれの存在でした。
 
動画で見ていた渉さんがマイムラボセカンドの稽古場にいるのを見つけた時は本当にびっくりしましたが、しかし冒頭に掲載した動画が今見ると色あせて見えるくらい、すごいスピードで進化し続けている人です。
 
今回の舞台では、動画のような「パントマイム的な」演技ではなく、なんというか「邦画的」な質感の豊かな演技をされています。
 
パントマイム的なわかりやすさ、面白さ、そしてさらに質感まで同時に実現する演技は、「自分はなんでこれができないのかな…?」と思うほど自然で単純に見えるのですが、自分には一向にできません。
 
菅原ゆうき
菅原ゆうきさんは僕と同い年ですが、マイムラボセカンドではひとつ先輩で、舞台に関してはすでに兵庫県立ピッコロ劇団に所属しそのステージに立っているという、ちょっと恐れ多い感じの先輩です。
 
大きな舞台にいるような存在感があって、向き合っていると僕の存在感もあわせて持ち上げてくれるような感じがします。そのとき舞台でやるべきことをつかんでいて、演技の出力を落とさずにマルチタスクをこなせるひとです。
 
黒木夏海
黒木夏海さんは、僕が生で観たなかで最も感動したマイム作品(いいむろさんは除く)をつくったひとです。「おもいで」というタイトルで、縁側でおばあちゃんが手鏡をみて昔を思い出す、という作品でした。
 
このひとの作品の特徴は、見ていると目がグーッと演者に寄っていってしまうことです。ちょっとした動作に意味があるので、とりこぼすまいと目を寄せていくうちに、気持ちも寄せてしまっていて、もっていかれてしまいます。
 
「かつての風景」は、黒木さんの演出する作品になります。
 
「風景」という言葉がとても「らしい」作品になると思います。
 
風景をみているその人の後ろ姿を、「何を考えてるのかな…」とみている、そんな感じにピンとくるものがあれば、とても楽しめる、もとい、もってかれる作品ではないでしょうか。
 
「かつての風景」でご一緒するひとびと
tinörks
そして、生演奏をしていただくのはtinörks(ティノークス)さん
北欧エレクトロニカ、と説明をつけてはいますが、どんな音楽かといいますと。
 
たとえば、晴れた土曜日の午前中に、京阪の特急シートに座りながら聴くととても気持ちいい音楽です。
 
エレクトロニカといいつつ、トイピアノやメタロフォンを使ったアコースティックなぬくもりがある曲も多く、溶けていくような気持ちよさがあります。なんだったら本番中にお客さんが寝てしまう危惧すらあります。
 
一方で、薄暗い部屋で気だるく聴いていると、全然知らない物語の景色が頭に浮かんできて、物狂おしくなるような音楽でもあります。ちょっと疲れた時に聴こう、というよりは、「ここぞ」というタイミングでのめりこみたい音楽だ、と僕は思っています。ちょっと脱線してしまいますが、Webサイトがとても面白い(楽器紹介とか)ので、必見です。
 
仲谷萌
そしてまだ紹介をしていない最後の出演者が、仲谷萌さんです。
 
マイムを専門的にならっているひとではありませんが、おそらくこのひとが「かつての風景」の風景の中心になります。マイムを専門的にならっているひとではありませんが、だかろこそ、黒木さんの演出するマイム作品の特徴をもっとも捉えた演技をされます。
 
生身の存在感であること、素朴であること、透明であること。
だからこそ、見ているひとが気持ちを寄せてしまう。
という、素晴らしい役者さんです。
 
 
以上が、「かつての風景」に出演されるひとたちです。
これに僕を加えた俳優5人、演奏3人、計8人で上演されます。
 
ぜひ、見に来ていただければと思います。
 
よろしくお願いします。
 
 
 
 

『ヒトの化石』岩がごろごろ転がってる舞台

f:id:mazushima:20150416202747p:plain

どんだけ更新してないんだという感じですが。

とりあえず基礎連をということで稽古を始めてはや3カ月…。
 
ようやく進捗といえるひらめきがありましたので、動き始めます。
 
ずばり「岩がごろごろ転がってる舞台」です。
 
 
マイムを中心にした公演にはいわゆる「戯曲」はないわけで、この3ヶ月間、どこから作り始めたものやらさっぱりわからんという状態でした。
 
テキストを用意してみたものか、まず人を集めたものか。
そもそもマイムのスタイルもいろいろあるし、人を集めてもマイムの技術はそろわないだろうし、そもそも作品の全体像がぼんやりでも見えなければどんな人が必要なのか分からないから、「お願いします」と声もかけられないし。
 
そんなこんなで時間だけが過ぎてゆき。
きっと「仕組み」みたいなものがあればいいんだろうとは思いながらぼやぼやしていました。
 
…で。
ようやっと思いついた「仕組み」が「岩がごろごろ転がってる舞台」というわけです。
 
岩は便利な舞台装置になるだろう、ということが一点。
 
岩は長ーい時間をつなぐ存在になるだろう、ということが一点。
 
となると、こういう画が作りたい、こういう人を並べて立たせたい、こうすればシーンをつなげられる、というイメージもできてきました。
 
ストーリーはまだ無いけれども、人を集めないとシーンは作れないことは、この3カ月でわかってます。
これからは、人を集めるステップです。
 
あの人この人、浮かんでるので、これから声をかけていきます!
 

『ヒトの化石』進捗まとめ

進捗状況

2015-04-16 仕組みを思いつく(イマココ)

 
2015-01-21 タッチについて考える

 

2015-01-14 とりあえず稽古を始める

 

2015-01-13 思いつきを公開してみる

 

2014-11-06 ルールを決める

 

2014-11-05 宣言してみる

最終更新日時 2015/01/18

僕が観る映画

f:id:mazushima:20150123191534j:plain

本に続き、僕が好きな映画もまとめます。
もしかしたら、これを見て僕の好みを把握した人がおすすめを教えてくれるかもしれんし。
 
映画の公式サイトのリンクでも貼ろうかと思ったのですが、やめました。
レンタルビデオ屋でジャケットを見ながら、「これ、どんな映画やろか」と考えて、実際観てみて、「はぁ〜。」となるのがいいと思うので。
 
ー別格ー
 
ーすごくすごいと思う映画ー
・しわ
・人生、ここにあり!
 
ーすごく好きなシーンがある映画ー
・運動靴と赤い金魚
・バティニョールおじさん
・おばあちゃんの家
・ほーほけきょとなりの山田くん
カールじいさんの空飛ぶ家(最初の5分まで)
 
ーユーモアがすごいかつロマンチックー
・アメリ
・ミックマック
 
ーセンスがほぼ全部好きー
・ベルヴィル・ランデヴー
・夜の帳の物語
 
ートラウマを的確に刺激するー
・(500)日のサマー
 
ーいい出来とは言えないけど、自分に近く感じる映画ー
 
ーアニメーションー
・ミトン
・動物農場
ピクサー・ショート・フィルム 1&2
 
映画を選ぶのに疲れたときにでも、参考にしてください。

『ヒトの化石』タッチについて

f:id:mazushima:20150121220848j:plain

ずっと悩んでいた、作りたい作品の「タッチ」について、自分なりに納得がいったのでまとめます。
これから話をするひとたちに僕の話に乗っかってもらうためには、伝える必要があることだと思うからです。
 
今後どうなるかはわかりませんが、少なくとも今回は、ミヒャエル・エンデに大きく影響を受けつつ、いわゆる”児童文学”(この””は外人が映画とかでよく皮肉を込めて両手の人差し指と中指を曲げてつくってるやつ)的な作品づくりをします。
例えば、コロッセオに集まったこどもたちとモモが、調査船ごっこをして遊んだように、ということです。
 
中島敦の『狐憑』、
ほらふき男爵の冒険、
キャプテン・ブルーベアの13と2/1の人生、
ミヒャエル・エンデ『モモ』のジジ。
 
「おはなし」をするというのは、作文を書くことよりも、音楽を紡ぐことや、絵を描くことに似ていると思います。
 
僕はとても理屈っぽく頭がはたらくタチで、普段何かを受け取る時はすこぶる感覚的なのに、いざ何かを「つくらねば」と思うと、何か公式があってそれに合わせて解いていかなければならないように感じてしまいます。
でも、そこから逃れないと、つくりたくなくなってしまう。
 
だから、
喋り始めるときは冒険に出るような気持ちで、どこに行くかわからない。
楽しくするためにとんでもないことが次々起こって、
たどっていくうちにおはなしの終わりが自然とわかるような、
そんなふうにつくりたいです。
 
この「つくりかた」と「つくられるもの」はほぼ同じものです。
だから、つくりかたの話をしているようで、これからつくられるものがどんな作品になるか、の話をしています。
 
なるべく理屈をこねずに感覚でつくっていこうと思いますので、多少サムかったりポエジーかもしれませんが、どうぞご了承ください。

僕が読む本

f:id:mazushima:20150118134231j:plain

 

友人が高校の教壇で授業をするにあたって、このなかのどれかを使ってくれる上にビデオまで送ってくれるそうなので、僕が何度も読んで影響を受けている本についてまとめました。
 
《絶対はずせないもの》
□ちくま日本文学012 中島敦
なかでも
ー幸福
ー悟浄歎異
ちくま文学の森3 変身物語
なかでも
ー死なない蛸 萩原朔太郎
ー壁抜け男 マルセル・エーメ
 
《作品を考えるときに思い返すもの》
□妻を帽子と間違えた男 オリヴァー・サックス
なかでも
ー妻を帽子と間違えた男
ーただよう船乗り
ー機知あふれるチック症のレイ
□エンデのメモ箱 ミヒャエル・エンデ
なかでも
ー愛読者への四十四の問い
ー平行ものがたり
ーこれっきり
ーはい、もしくは、いいえ
 
《物語の雰囲気が好きなもの》
□ちくま日本文学009 坂口安吾
風博士
村のひと騒ぎ
□ちくま日本文学016 稲垣足穂
 
《キャラクターのコンプレックスに惹かれる物》
□ちくま日本文学003 宮沢賢治
どんぐりと山猫
猫の事務所
□ちくま日本文学027 菊池寛
藤十郎の恋
入れ札
 
《美しいと思うもの》
□ちくま日本文学021 志賀直哉
或る朝
ちくま文学の森7 悪いやつの物語
光る道 檀一雄
 
《なんかに使いたいもの》
ちくま文学の森5 思いがけない話
嫉妬 ブウテ
□異色作家短編集1 キス・キス(ロアルド・ダール
ウィリアムとメアリィ
 
《読み物として面白くて何度も読むもの》
□不連続殺人事 坂口安吾
□キャプテン・ブルーベアの13と2/1の人生 ヴォルター・メアス
□ジーヴズの事件簿 P.G.ウッドハウス
□ミステリ百科事典 間羊太郎
 
さーて、とっ散らかした分の片付けがんばるぞっと。

『ヒトの化石』稽古はじめるぞもしくは自主練といってもいいが

f:id:mazushima:20150114213533j:plain

 
年も改まり、「稽古しないと上手くなれない」という単純な事実を思い出したので、ここで宣言します。
 
稽古はじめるぞ!
 
左京西部(or東山)いきいき市民活動センターとかで、月・木の週2くらいでやろうかな。
 
稽古時間は18:30-21:00くらい。
マイムの基礎練(復習)と、ヒトの化石のつくりかたを探っていく予定。
 
基本的にマイムの基礎練習をするのですけれど、体を動かしたい人がいればいっしょに動かしましょう。そして芝居の話をしましょう。
そこからあわよくば「ヒトの化石」の形をみつけていきたい。
 
とりあえずの稽古予定表(まだ押さえれてないけど)
 
1月
15日(木) 19:00-21:00 東山いきいき 和室
19日(月) 18:30-21:00 極寒の鴨川稽古
26日(月) 18:30-21:00 東山いきいき 和室
2月
2日(月) 18:00-21:00 左京西部いきいき 会議室2
5日(木) 18:00-21:00 左京西部いきいき 会議室4
9日(月) 18:00-21:00 左京西部いきいき 会議室2
12日(木) 18:00-21:00 左京西部いきいき 会議室2
16日(月) 18:00-21:00 左京西部いきいき 会議室2
19日(木) 18:00-21:00 左京西部いきいき 会議室2
23日(月) 18:00-21:00 左京西部いきいき 会議室2
26日(木) 18:00-21:00 左京西部いきいき 会議室2