weblog@mazushima

京都で役者をやっている豊島勇士のブログです。

どんな芝居をつくるべきか

自分の芝居を作らないといけない、と思ったことは前に書いた。
そのあと当然生じてくる問題が、

「どんな芝居をつくるべきか」

ということだ。

大きく分けて、「評価されやすい芝居をつくる」「自分がやりたい芝居をつくる」「自分が面白いと思う芝居をつくる」の三種類ほどあるようだ。

まず、「評価されやすい芝居をつくる」という選択肢は×だろう。
本当に評価されるのかもわからないし、そういう狙いは透けて見えるものだから。

「自分がやりたい芝居」「自分が面白いと思う芝居」

この違いは少し難しい。僕にとって、劇団でやっていた芝居は前者だった。しかし、後者の条件を考えてみると、「果たして自分はどんな芝居を面白いと思うのか」あまりはっきりとわからない。

でも、お金と時間を割いてでも見にいってよかったと思う芝居の共通点を考えて行くうちにわかってきた。

役者の圧倒的な存在感と、想像力を刺激する遊びがある芝居だ。


2回生の時に知り合いの誘いで見に行った芝居。

最前列に座っていたら、顔中に青ペンチを塗りたくった人に、器いっぱいの青や緑で塗ってあるマカロニを見せられて、「これ、何だと思う?」と尋ねられた。「マカロニ?」と答えたら、そでから人が出てきて、「もっと想像力を働かせろ!巨人のDNAとか!」と怒鳴られた。僕は猛省した。

ベビーピーの「七福神」では、脚立の上で月に登ろうとする松田さんと、缶を耳にあててカラカラする音に病的に固執する森上さんに震えた。

どくんごの公演では、帽子をクイッと上げながら、「え?なに?」と言うだけのことを、繰り返し繰り返し見せるだけのその芝居が、何とも言えない格好良さで、終わったあとにそれしか覚えてなかった。

これらの芝居は当時、見たあとにすごく感動したものの、それを自分が演じているところなんか全然想像できなかった。とてもじゃないけど真似できないと思った。

でも、「作ってみたいと思う芝居」の参考にはなりそうだ。

あとは、これと「やりたい芝居」がはまるかどうか。
これが・・・難しい。