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京都で役者をやっている豊島勇士のブログです。

なぜベイマックスが面白くなかったか、あるいは僕がディズニーに期待したもの

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ここ最近ツイッターとかでベイマックスの話題が流れてくるたびに「いや、アレおもんなかったやん」とひとり悶々としていて、もう考えすぎなくらい頭から離れないので文章にしてまとめます。
 
以下、ネタバレもあります。
 
僕がディズニーあるいはピクサーの主人公に期待するものとして、「危なっかしくて見ていられないくらい純粋な思い」があります。
 
アリエルなら「知らない世界への憧れ」
ウッディなら「アンディの一番であるという誇り」
WALL.Eなら「手をつなぎたいという思い」。
 
で、次に期待するものが「その思いは当然挫かれるしかない」ことです。
 
アリエルなら「陸へ行く足がないこと」
ウッディなら「新しいおもちゃ、あるいはアンディの成長」
WALL.Eなら「相手の無関心」
 
これはやっぱり、どうしようもない理由、当たり前でないと納得できません。
 
陸に行きたくても足がなきゃいけないよ。
ずっと1番でいたくても新しい1番はできるよ。
手をつなぎたくても相手が興味なきゃ無理だよ。
 
当たり前です。
そっからどうもがいていくかのドラマを見たいわけです。
 
 
で、ベイマックスの話。
 
まず出発点になるヒロの「純粋な思い」がわからない。
 
すごいロボットをつくりたい?
兄さんといっしょにいたい?
ヒーローになりたい?
 
もう訳わからん。
どの気持ちも、最初からどうしようもないくらい強く思っていたものではないし。あいつただの機械オタクやん。
 
でもまあ百歩譲って、「大学でロボットつくりたい」だったとしよう。
 
で、思いの挫かれ方も納得できない。
 
ヒロの場合の挫折ポイントはおそらく、教授を助けに入った兄が焼け死ぬところです。
 
これがなんにも納得いきません。笑うしかない。
兄が死んだのはただの偶然です。
悪役が、ヒロのロボットを盗むために火をつけたことが原因だったとしても、「すごいロボットをつくりたい」というヒロの思いとは直接関係ありません。
 
すごいロボットつくりゃ、そりゃ、お前の大事な人が死ぬよ。
 
とはならないでしょう。少なくとも僕は相当理屈こねないとそこまで至れない。
 
そういう納得できない前提からスタートして「復讐だ!」「復讐は何も生まない。兄さんはそんなこと望んでない」「気付けたありがとう、ベイマックス…」みたいなアホみたいなドラマ見せられて誰が感動できんねんと。
そのアホみたいな過程で、研究者スーバーマンやら日本文化やら迫力アクション映像がどんだけ出てきても感心はしても感動はせんよと。
 
結局なんの話なん?ベイマックス。
兄の死を乗り越える少年の葛藤?
ヒーロー集団の誕生秘話?
 
両立可能なテーマやとは思うけどどっちも出来てなくない?
 
つまり、おもんなくない?
 
というひたすらな主張です。